その人の「一点」を見据える①

持って生まれたもの

強迫性や不安、そんな心の有り様について最近は書いてきましたが、そういういわば症状的なものとは目先を変えて、今回からは個性やオリジナリティといったものについて書いてみます。

 

私の先生筋にカレン・ホーナイという精神科医・精神療法家がいますが、彼女の基本的な考え方にこういうものがあります。

 

「人の成長を阻むものが取り除かれるならば、その人はまるでどんぐりが樫の木に育つように成熟し、完全に自己実現した大人になっていく」

 

つまり、ホーナイは「人間には持って生まれた自己実現を目指す性向がある」と信じていました。

 

この視点と言いますか、この理念が根本的に最重要だと思います。

 

この考え方を持つか持たないかで、基本的な人間観に大きな違いがでてきそうです。

 

その人の症状を「病」と捉えるか。

 

その人の自己実現の方向を汲み取り、その方向に立って「成長を阻むもの」を取り除こうとするのか。

 

前者では、治療する人とされる人という一方通行の関係になりがちという気がします。

 

後者では、その人固有の生き方を汲み取ろうするので、セラピストとクライアントの共同関係が成立しやすい気がします。

 

セッションでの会話の内容以前に、セラピストや医師の態度、つまり自分を真剣に分かろうとしてくれるかどうか、に相談者の方々は敏感です。

 

その対応する側の態度に、上述した理念・人間観が大きく関係していると私は考えています。

 

2022年2月23日 佐藤