当ルームの特徴

カウンセリングルームさとうは、2013年の開業以来生きづらさを抱える多くの方のサポートに携わってまいりました。セッションルームには、落ち着いた雰囲気のなか、リラックスできるソファーや横になってお話いただけるカウチをご用意しています。また完全予約制ですから、ご相談者のプライバシーは完全に保たれます。対症療法に飽き足らない本当の変化を望まれるご相談者のお役に立てれば光栄です。

当ルームの特徴をご紹介いたします。

〜根本的な心の変化を目標にしています〜

当ルームの基本的な考え方は、精神/身体症状をメッセージとして受け取り、それを紐解きながら根本的な心の変容・成長を目指すことです。

 

この考え方にもしご同意頂けたら、50分間のセッションを一定期間積み重ねてゆくなかで、ご自身の気づきで変化を実感でき、薬の必要性も減ってゆくものと考えています。

〜在籍カウンセラーは全員教育分析を受けています〜

カウンセラーが自分自身のことを深く分かれば分かるほど、ご相談者のことがよリ深く分かるようになるという、極めて大事な要素を当ルームでは重視しています。

 

逆に言うと、カウンセラーが自分のことへの分かり具合が浅いほど、ご相談者へのカウンセリングも浅いものとなり、局面の進展がなかなかおこらない事態にもなりかねません。

 

従いまして、当ルームに在籍するカウンセラーは全員、教育分析を数年受けた経験を持ち現在も教育分析を受けています。

 

※教育分析:現職のカウンセラーが受ける精神分析(カウンセリング)を教育分析あるいは訓練分析といいます。 

〜カウチ環境〜

カウチとは一般的には寝椅子を意味しますが、カウンセリングにおいてはご相談者が横になって、要は仰向けになってお話し頂くことを指します(本格的な精神分析ではこの方法を実施しています)。

  

椅子に座って話すよりも、「横になった方が自分の奥深く入って話せる」という感想を持つ方が多いようですし、心身からのメッセージを感じとりやすいリラックス効果もあるものと考えます。

 

上記の必要性から、当ルームはゆったりと横になれるソファベッドを用意しています。

もちろん、椅子の方が良い、という方はひとり用のソファに座ってお話し頂いても全く問題ありません。


【当ルームの思い】

 

おかげさまで、カウンセリングルームさとうもオープンしてから5年を過ぎました。

 

病はその方にとってのメッセージである、という考えは変わりませんが、日々の臨床のなかからある傾向が見えてきたと感じています。

 

ひとつは、社会における効率優先、数値管理等の価値観が企業や学校、家庭にまで浸透し、人間として一番大切な個性を圧迫していることです。

 

もうひとつは、親子関係をはじめ、自分と他者の区別(親と子といえども他者との関係です)がつけられない人が残念ながら多いということです。

 

幸せになる為の「最高効率」を目指して、子供の時から塾通いをして、一流大学、ついに一流企業に入ったものの、しばしば空虚感に見舞われ、ある日突然出勤できなくなってしまう。

 

あるいは、子どもの時から親の愚痴や期待を聞かされ続けて、親のカウンセラーというか親の付属物のような精神状態になっていき、そこから大人になっても自分を無くして他者に強迫的な配慮(忖度)をするようになってしまう。

 

そして、この二つは決して無関係ではありません。

他者の気持ちや素質を尊重できない心には、容易に効率や数値などの無味乾燥な価値観が入り込みます。

ランク付けや金額は一見分かりやすいので、そもそも自分を持っていない親であれば、子どもを道連れにしてそれにしがみつきますし、そういうように育てられ成人した場合は自分が他人からどう評価されているかばかり気になって、真に充実した人生を楽しめない=自分という個性を尊重できないでしょう。

 

このような社会的背景と親子等の関係心理、というように複眼的な視点を持ちながら、その方が本来の個性を回復し、充実した人生を歩むためのお手伝いを続けていきたいと考えています。

 

2019年3月

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「うつ病」と私達が言う時、その言葉には既に「病気」というレッテルが付けられています。

さらに、現代社会では一般的に「病気」は薬や治療で「治す」ものとされています。

一方、私はこの考えには賛成しかねます。

 

私が企業で働いていた時、周囲にいた「うつ病」と診断された方々に話を聞いた際、「おかしいのは本人ではなく周りの方だ」と思うケースが多々ありました。

どんな職場環境なのかを聞くと、例えば、毎月ノルマを課される上に夜遅く自宅に帰ってからもスマホやPCで仕事のメール処理に追われる、あるいは、得意先との懇親会のみならず社内の飲み会にも出席を強要されて上司や先輩にお酌をしないと叱られる、などのケースがありました。

 

こんな職場で「働きたくない」と思うのは、ごく真っ当な反応だと思います。

ただし、「うつ病」の方は自覚して「働きたくない」と思っているわけではなく、無意識の領域で思い、身体がその無意識の思いを汲みとり、気力が無くなって会社に行けない(行かない)等の状態になっています。

つまり、うつの状態は、「今の働き方や生き方をなんとかしてほしい」という心身からのサインなのです。これを「病気」と呼んでいいものでしょうか。

 

そんな状態を「治す」というスタンスは的外れという気がしますし、なぜ意識上でなく「無意識に」思うのか、というその方の根源の問題に薬が効くかは疑問です。

また、休養して元の環境の職場に復帰することを計画するのは、無意識の思いを無視した治療でしょう。

 

「うつ病」に対処するには、心の深いところにおけるご本人の生き方の模索と現代社会で生きてゆく術を折り合わせる必要もあります。

「治す」のではなく、心のサインの意味を汲みとって、その方にとってよりよい生き方を共に考えてゆく、そんな姿勢でご相談者と向き合いたいと思っています。

 

2013年10月