心についてのメモ書き(2)-死と再生①

死と再生について①

全ての人がそうだとは言い切れませんが、心はある時に死を迎え、同時に再生すると私は考えています。

黒澤明監督の映画「生きる」の主人公は、市民の苦情を部署間でたらい回しにしたりする市役所に20年以上勤め、そのうち胃癌となり、なかば自暴自棄になって飲み歩いたり、市役所の部下の女性につきまとって「あなたのその溌剌としたエネルギーはどこから湧いてくるのか?」と、とてもとても切実な悩みをぶつけたりします。
そして、そんな苦悩の時間を抜けて、残り少ない人生の時間を地域の子供たちの公園づくりに捧げるのです。

クライアントの方を見ていても、自分の経験からも、「悩み」の時間を持つ、ということは内省によって今までの自分と対峙して(心の死)、心深いところにある自分を見出す(心の再生)ための必要なプロセスだと考えています。
いわゆる「うつ」の状態は、この「悩み」の一環であると思います、従って病気などではなく、豊かな人生へのステップと考えられるのです。