心についてのメモ書き(9)-自由②

自由について②

自由を得る過程をあえて具体的に表現すると、「既存の価値観を捨てる」「敷かれたレールから外れる」「自分の枠からはみ出る」ことだと思います。

日本社会では一般的には何かを(捨てるのでなく)「身に付ける」、(レールから外れるのでなく)「積み重ねる」ことがよしとされる風潮があります、例えば「こつこつ勉強してステップアップ」「難しい仕事をこなしてキャリアアップ」などです。
これらの用語の背後には、人間の向上や自己表現は、学歴や仕事を通じてなされるべきだという近代科学・経済偏重の考えがあります。

しかしながら、仕事と自己表現が一致する人は稀ですし、仕事だけがその場でもないのですが、これを頭から信じて仕事に邁進したりすると、心や身体がサインを送ってくることがあります。

例えば、狭い所に閉じ込められた時などに息苦しさを感じるパニック障害では、決められた枠(=狭い所)のなかで、生き方に苦しさ(=息苦しさ)を感じる、という心からの身体経由のメッセージと解釈して対話をしてゆくと、クライアントご本人がいかに与えられた価値観に縛られて生きてきたかにご自分で気付かれることもあります。
そして、そのことに気づいた途端に身体的な息苦しさの症状は消失します、なぜなら心が息苦しさのもとであった「枠」とか「レール」から離れはじめ、(身に付ける必要のない)もともと自分のなかにあった大切なもの(その人固有の感じ方、価値観、生き方、天命など)に目覚め始めているからです。これが自由な状態の始まりです。

*身体と心の驚くべき「一致性」については、近く書きたいと思います。

2015年1月6日