心についてのメモ書き(11)-心と身体の一致性②

心と身体の一致性について②

うつ状態において、早朝覚醒を体験する方がかなり多いということはよく知られていますが、その「意味」とは何なのでしょうか。

実際にお聞きすると、早朝に目覚めてしまう際に、なんとも言えない不安感を感じる、という方がほとんどです。

一方、カウンセリングの過程で、今までの人生のなかで何回かふとした瞬間「このままの生き方でいいのだろうか?」という漠然とした不安感を感じたことをつらつらと思い起こしておられる時に、早朝覚醒のことに水を向けると、目覚めてしまう時と今までの人生で時々感じた不安感は同じものだ、とおっしゃるクライアントが多いのです。

このことは、今の生き方から「早く目覚めよ」という心からのメッセージが、まさに(身体の眠りからの)覚醒という形で表現されてきたものと思われます。

人生で時々感じた不安感にいつも目をつぶっていると、自己の生き方に向き合おうとするまで、心のメッセージは色々な姿をとり、繰り返し身体に現れてきます。
前回書きました「書類が見えない」「熱が出る」という分かりやすい症状が自分を守るためのいわば緊急避難的な意味合いも込められていたのに対し、今回のケースはその人自身の生涯全般に関わる根源的かつ長期的な生き方の指針がメタファー(隠喩)とでもいうべき形で身体に症状がでています、うわべの現象のみを見ただけでは分からない深遠なものです。

さて、一旦自分の道を見いだしてうつから抜け出すと、心と身体はその本来の機能を発揮します。

頭痛や肩こりなどの消失だけでなく、風邪をひかなくなった、花粉症の症状が軽くなったとおっしゃる方も少なくありません。
木々や花など自然の美しさに敏感になったとか、周りの人と積極的にコミュニケーションをするようになった、あるいは、勘がさえて株式投資でかなりの利益をあげたという方もいます。

このように、身体的には神経系、免疫系が活性化されますし、精神的には積極性に加え、直感などの野生性が目を覚ますのです。
こういう好ましいサイクルが身体と心の両方に起こります。

心と身体は表裏一体であり、身体に現れる症状は良いものであれ、悪いものであれ、心の状態を反映していたり、心からのメッセージである、と捉えて日々の生活のなかで自分なりにその感覚を味わうようにしていくと、人生が豊かになってゆきます。

2015年4月8日