参考になる本など(5)-精神科セカンドオピニオン

精神科セカンドオピニオン/誤診・誤処方を受けた患者とその家族たち+笠陽一郎著 シーニュ 2008年

心療内科に行くと待合室には、10代20代とみられる若い人がかなりの確率で多く見受けられます。

それを見ると私は、いわゆる発達障害とそれに伴う精神症状を、統合失調症と安易に診断していないか、そしてまた安易に薬物を多量に処方して病院と薬にクライアントを縛り付けていないか、強い疑念を抱きます。


今回ご紹介する本は、精神科医に誤診と誤処方を受け続け、後に正しいセカンドオピニオンによりからくも救われた主に10代後半から20代のクライアント本人やその家族28組の手記がメインに掲載されています。


強迫性障害、発達障害から生じた解離性障害、不登校の子供のひきこもり等を統合失調症と誤診したり、薬物の種類の処方間違い、薬の副作用を消そうとして薬の種類と量が増えクライアントが地獄の苦しみを味わう、など目を覆わんばかりの内容ですが、多くの精神科医の不勉強ぶりや不誠実さなどの実態をありのまま描いています。

また、手記の他に精神科医と付き合いうまく渡り合うためのコツや、セカンドオピニオン医師の笠氏による誤診のパターンや精神症状・薬物の解説なども非常に参考になる内容です。


ところで、手記を書いた家族はほとんど親御さんですが、例外なく最初は医師に任せれば治る、とか、大病院の院長だから誤診などするはずがない、などと思って間違った治療を続けて、それが症状を長引かせ深刻にしてしまっています。

一番の問題は精神科医側にあるのはもちろんですが、大切なものを権威ある(と思っている)ものに盲目的に任せてしまう親の姿勢。そのことが育てている過程から子供にもなんらかの影響を与えているかもしれない、と言ったら言い過ぎでしょうか。


2015年5月1日