サラリーパーソンの護心術−迎撃

迎撃ミサイル

主に上司からのケースが多いと思いますが、会社で現在理不尽な扱いを受けておられる方もいるかもしれません

 

同僚や他部署の人も近くに居るなか、「こんな簡単なこと、なんで出来なかったんだ」と叱責される。

 

期限に間に合いそうにない仕事について、問題点を話し合うこともせず、「じょうんだんじゃねえ、お前の責任だ」と言われ、徹夜残業を無理強いされる。

 

ちなみに、いずれも私の体験です。

 

精神的苦痛を与え、人の生活に侵入する、このような言動は明らかにルール違反で、犯罪行為と言ってもいいと思います。

 

こういう言動を行うタイプの上司は、「仕事だから」たいていの事は許される、そう思っています。

彼らは、自分自身の価値を仕事や会社にまる預けしているので、会社にいる時においては、仕事の領域と遠い人間のプライドや生活といったものに思いが至らないのです。

 

その代わり、仕事には打ち込みます。

会社幹部からの受けもいい場合が多いです。

 

仕事には熱心、上から自分への評価も高い。

そんな勢いにのった人が、部下を大勢の人の前で怒鳴りつけるのも、「仕事のため」で「悪気はない」。

 

しかし、この「悪気のなさ」がやっかいなところです。

穏便に話し合いで上司の態度が改まればいいのですが、実際のところ、多少でも自分に落ち度があるなどの認識のない人間は、少々のことで自らの態度を変えるのは難しいと私は思います。

 

でも言われた方は、おそらく何ヶ月かそれ以上そんな扱いに耐え続けている場合が多いと思います。

内容自体も決して軽いものではありません。

速やかに、かつきっちりとした対応が必要でしょう。

 

すでに、かなり大きい「怒り」が湧いていると思います。

それは理不尽な扱い(相手のミサイル)に対して、心が迎撃ミサイルを準備していることを意味します。

 

迎撃ミサイルを発射する前にすることが二つあります。

 

一つは、ココロに対し「この怒りを相手に伝えるがOKか?」と聞くことです。

OKなら、「ハラがすわった」感じがするので分かると思います。

これで、相手に相対するのに最も重要な「迫力」を手にします。

 

もう一つは、アタマを駆使します。

言動があった日やその内容、そのことでどのような精神的苦痛や不利益を被ったか、をメモに書き出します。

また、どういう状態になれば、怒りを収めるかも具体的に考えて、想定しておきます、つまり落とし所です(相手のミサイルを撃ち落とすことが目的で、相手自身への攻撃が目的ではないと思います)。

 

ココロの怒りをアタマのフィルターを通して言語化し、暴力性をそぎ落として、相手に伝わる具体性を持たせるのです。

 

これで準備ができました。

迎撃ミサイルを放ちます。

 

上司にメールか手紙で、メモした内容を簡潔に伝えます(電話だと感情が前面に出る可能性があるので、メールがベターです)。

ここで同時に「迫力」も伝わります。

相手は、尋常でないことを察知して、耳を傾けるでしょう。

 

また、「心療内科にいこうと思っている」こと、「必要なら弁護士に相談しようと思っている」こともほのめかしておきます。

いくら鈍感な上司でも、診断書(精神的苦痛のエビデンス)、訴訟、の言葉が頭に浮かび、大変な事態だということに気づくでしょう。

(実際に心療内科や弁護士のところに行く必要はないでしょう。「思っている」と伝えるだけですから嘘でもありません。)

 

あとは、上司との話し合いです。

ハラを括って、しかし冷静に臨みます。

想定しておいた落とし所をしっかりと伝え、確約をとっておきます。

相手の態度はガラリと変わり、仕事がやり易くなっているでしょう。

 

ほとんど最終手段ですが、これもまた自分を守るためです。

必要とあらば、怒りを見定め、ハラを据えて、しかもクールに実行します。


2016年1月21日