うつからのメッセージ−身体を温める

身体を温める

身体を温めるとうつの症状が喪失する。

そんな話を聞いたことはありますし、経験者にもお会いしたことがあります。

 

でも、人間は良かれ悪しかれ、言葉やイメージで思考したり、腑におちたりする。

それをサポートすることこそ、うつに対して心理カウンセリングが担う大きな役目のうちのひとつだと思います。

 

そういうココロやアタマの働きを度外視して、カラダのみに、うつから立ち直る作用を期待していいものだろうか?

両輪ではじめて相互に良い効果がでるのではないか。

私は漠然とそう思っていました。

 

この考えは基本的に変わらないのですが、

昨日は寒かったものですから、「ああ温泉にでもつかりたいな」と思って、フェイスブックでやりとりしている時に、ふと思ったんです。

 

身体を温めることは、胎児の時に戻ることではないか?

 

人間は、なぜか生まれながらに特有の資質や嗜好などをもっています。

その能力と言ってもいいパーソナリティを活かしたり、妨げないことがいい人生につながなると思います。

 

野口整体を創始した野口晴哉は、こう言っています。

「育児の急処は、胎児の時期にある。産まれてから育てるつもりでは遅い。

人間の本来もっている力を育てるのは、この時である。

人間の本来もっている力とは、自分の裡から意識しないうちに相手に働きかける働きである。(中略)

自分の嫌だと思っている性質でさえ、それが好きだといわれることもある。

そういう体の中から無意識に働きかける力があって対人関係が出来、又人間の社会生活が営まれているのである。

それに気づかないで、好きな理由や信頼される理由をいろいろ意識で考えるが、それはあとからつけたもので、(略)」

(「育児の本」野口晴哉著 全生社)

 

つまり、胎児の時にその人の核は出来上がっている。

しかし、誕生した直後から、不幸にも、しつけや教育や道徳の名のもとで、生まれ持った資質を阻められる。

 

そして、長年そんな状態におかれた人はうつになったりする。

 

そんな時、胎内を思わせる環境、温泉に限らず、暖かい太陽の下、布団の中、サウナなど、にいくとなぜかほっとする。

おそらく、胎内と同様に温かみを感じる環境で、それこそ本能が、胎内で育んだ自分の資質を思い出させようとしている。

その時、意識(アタマ)では気づいていなくても、カラダは思い出している、

だから(理由がわからなくても)うつ症状が軽減する、

そんなことかもしれません。

 

この時ココロがどんな状態か?がポイントですが、カラダに引っ張られて良い状態にあることは推測できます。

そうだとすると、身体を温めることは、カウンセリングのための良いコンディションづくりと言えるでしょう。


2016年2月25日