うつからのメッセージ−粋なはからい

粋なはからい

フェイスブック友達の方が、「知的トレーニングの技術」/花村太郎著(ちくま学芸文庫)を紹介していて、私も図書館で借りて読んでいるのですが、

思索するにあたって(つまり人間が生きてゆくにあたって)の具体的方法が巧みに描かれていて、かなり面白い内容です。

 

この本の中で、うつの状態を考えるのと似ているなと思った箇所がありますので、抜き書きしておきたいと思います。

 

「孤独な思考空間が、自立した思考や独創的な思想を可能にする(中略)

「文壇人や論壇人は、仲間を持ち仲間づきあいを持つ。

いや、学生時代からもうそれは持っている。

これがまた独立の思考を禁圧する。

それはその筈で、この小集団生活の特徴的な内容は、村民集団生活の延長であり、再生産である。

仕事と私生活の融合、従って他人の私生活への干渉、他人の仕事の時間に対する無関心。

そして、雑談と世間話の時間を惜しむ者、行ったり来たりのつきあいにまめでない者を、あれはお高く止まっているとけなすのである」

こうみてくると、思考の自立を奪うものは権力だけでなく、日本的な社会関係が日本人に、孤独な思考空間をもつことを妨げているといえそうだ。」(260頁)

 

「文壇人や論壇人」とは、要は「普通の」日本人のことです。

 

小さい時から、周囲とうまくやれ、とか言われて育てられた人がうつ状態になって、誰とも会わずに休んでいたくなったりする。

しかし、その状態の意味は、「〜すべき」など親や社会から背負わされた価値観を一旦こそげ落とし、本来の自分を見出すにあたって、孤独な思考空間を得るためのココロの粋なはからいとみてもいいのかなという気がします。


2016年3月7日