うつ状態であっても、仕事をせざるを得ない、しかし職場で周囲の目も気になっていたりする苦しい時は、どうしても自分を外界から切り離して休ませてあげる・自分を守ってあげる心のなかの空間が必要だと思います。
その方法は人様々で、週末にひとりゆっくりすることや趣味を同じくする会へ顔をだす、あるいはうつの当事者会のような集まりだったりするかもしれません。
細かいことなのですが、週末あるいは平日仕事が終わった後の時間には一息つけると思いますが、仕事時間中、つまり一番緊張を強いられるときにも「退避空間」のようなものを自分のなかに持てれば、もう少し楽になるかもしれません。
ニーチェ著の「ツァラトストラはこう言った」の文庫本をいつもスーツのポケットに入れておいて、職場での居づらさを持ちこたえていた方を知っています。
「ツァラトストラ」には、職場によく見られる「あなたのためだから注意するのよ」とか言いながら、その実説教をすることで、満たされない自己愛を説教のかたちで他人に依存して紛らわそうとする人間など、「にせもの」の人間がたくさん登場します。
主人公のツァラトストラは、そんな人たちと遭遇して、時には傷つけられながらも本当の自分に向けて旅をしてゆくのですが、
その方は、周囲から理解されない自分とツァラトストラを重ね合せてイメージし、そのことを現実にもポケットに入れて連帯感や安心感を得、また心のなかにもいわば要塞のように、誰にも踏み込ませない自分の領域として大切にすることで、プライベートな時間だけでなく仕事の時間も、24時間自分が自分でいられる場所を懸命に確保していたと思われます。
これは一例に過ぎないのですが、
何か自分のこころの腑に落ちる・ぴったりとくる・奮い立たせてくれる書籍や人物(その人のHPや写真等)などといつも繋がっている環境を持っていると、
それが自分の心のなかに余裕空間を作り、いつでもその場所で休むことが出来、そのことが立ち直りへのエネルギーとなったり、人生の行く先への指針そのものとなったりすることもあると思うのです。
2016年4月24日