うつからのメッセージ-執着

執着

「元のように働けるようになりたい」と思っているけれども、なかなか体が言うことを聞いてくれない。」

こんなことを思っておられる方は多いと思います。

しんどい気持ちだと思います。

 

しかし、この状態にこそ、うつのメッセージが端的に表れていると思います。

 

「元のように働く」ことに対して、心と体はノーと言っている。

だから、体は動かない、意欲も起きない。

 

一方、頭は「元のように働く」ことにイエスと言っているので、休職等していても、休もうとしている心と体には納得していないので、「自責」という考えで、働けない心と体を責めてしまう。

すると心と体は休んだ気がしない。

 

そんな状態でも、まあしばらく休んだから徐々に復帰してみようか、と思い仕事に復帰しても、たいてい再び調子が悪くなってしまう。

なぜなら、「元のように働く」ことに反対している心のメッセージをなんら受け止めていないから

 

なぜ受け止められないか?

 

人間は、過去の体験の積み重ねの上に生きている側面があります。

生きる過程での学習、具体的には成功や失敗の体験、あるいはその状態でとりあえず生存をキープ出来ているところの習慣化した行動・生活パターン、などのいわばプログラミングのより日々生きている。

その作業は頭が行っています。

これはこれで大事な作業です。

 

しかし、この作業が心を圧倒するまでに強大になると、心の声を聞かなくなってしまう。

心や体の作業も、頭と同等以上に大事なものなのに。

 

それでも、頭は自分を専ら生かしてきた(と思い込んでいる)プログラムに執着します。

それは例えばこんな感じです。

・平日は会社で「一人前に」働くべきだ、

・週末は休んで「仕事への英気を養う時間」にあてる、

・普段一生懸命働いたから、「周りの人みたいに」海外旅行に行こう、

・ストレス発散には、エステが「いいらしい」から、私も行ってみよう、

・同僚と「話を合せたり」、自分が充実したプライベートを過ごしていることを「見せる」ために、「話題の」スポットを見てこよう、

 

「」内の言葉は頭によるプログラムのエッセンスです。

「世間を渡っていく」ためには有効なものかもしれませんが、決してそれ以上の意味はありません。

また、強迫的とも言える同調の匂いが濃厚です。

 

しかし、頭はこれにしがみつき、一旦でもなかなか手放そうとしません。

なぜなら、変化するのを頭は恐れているからです。

社会的に生存するという意味ではこれも止むを得ないかもしれませんが。

一方、心と体は反抗し、このままでは立ち行かない・・・。

 

では、どうしたらいいのか。

次回は、どうしたらいいか(どうなるのか)について書きたいと思います。


2016年5月4日