心理のよもやま話-「あ、そうか!」体験へ(序)

「あ、そうか!」体験へのプロセス(序)

精神的苦悩から立ち直った時、多くの人が体験する「あ、そういうことだったのか!」と全てを合点するような瞬間というものがあります。

 

人により、「ああっ!」という雷に打たれたような衝撃と同時に苦悩の理由を悟って苦しみから解放される方、自分と対話しながらこつこつと(他人任せでなく)自分なりの生活を続けて、ある日気がついたら苦しみは少なくなっていて、それまでの日々をゆっくり反芻してみると、「そうか、そうか、私が苦しんだのは、こういうことだったのか」と後からじんわりと理解する方、色々おられます。

 

こういう体験を心理学で「aha experience」(アハ・エクスペリエンス)、

日本語では「あ、そうか体験」といいます。

この言葉は、極めて重要な「洞察」の瞬間の感覚を表しています。

そして、この「あ、そうか!」という洞察に辿り着くまでの過程を考えると、心理療法つまり悩める人間の精神の変化について、その全体感や大まかな流れを描くことが可能になると思います。

 

そこで、私が考えるその変化の過程を「葛藤→苦悩→自主性→対話→洞察」の5つの段階に分けて考えてみたいと思います。

 

次回は一つ目の「葛藤」について書きます。

 

2016年8月17日