ココロを大切にして働く①

仕事はあなたの価値体系のどのあたりにありますか?

数日前、テレビで過労による自殺や同一労働同一賃金をテーマに議論されているのを見ていました。

その時に私が思いましたのは、以下のことです。

 

「自分を大切にする価値観の体系が個人の中に根付いていない」

 

例えば、「ワーク・ライフバランス」という用語がありますが、この言葉の使い方からして、ワーク(仕事)とライフ(生活・人生)を同格、つまり仕事も人生と同じくらい大事なんだ、という考えが表されているように思えます。

おそらく、この用語は電通のようなPR企業か◯◯総研のような金融系シンクタンクが作ったのではないかと推測しますが、その時点ですでに企業(仕事)が主体だという論理がこの用語のなかに入りこんでいると感じます。

そして、この用語をほとんど違和感なく使用するマスコミ。

それは、仕事が個人の人生と同じくらい(いや、ときには人生以上に!皆がそのことをうすうす感じているからこそ、ワーク・ライフバランスという言葉で仕事の比重を無理矢理軽くしようとしているようにみえます)大事だという、日本社会の一般的な通念とマッチしているからなのでしょうか。

 

かくいう私も以前は、勤めていた会社の研修で「ワーク・ライフバランスを生かしていかに仕事の効率をあげるか」といったような今考えれば少し矛盾がありそうな内容の講義をうけた記憶があります。これも「会社主催」の研修です。

 

しかしながら、政府や企業主体でワーク・ライフバランスを叫んでも、ワーク=仕事に重きを置き過ぎている人が減っているようには見えません。

依然として多くの人において、仕事がライフ=人生そのものを破壊しています、昨今の自殺報道やうつ病の現状をみれば明白だと思います。

 

そこで、「価値観の体系」を頭の片隅に置いておけば、そんな不幸から軌道修正できるのではないかと思う次第です。

その価値観は体系と言うくらいですので、大事な価値観が先にきて、後にいくにつれて大事でなくなってきます。

また、下の階層はそれより上の階層の為にはどうするのがいいのか、とか、お互いに常に関連性をもっています。

 

その価値観の一番先頭にあるのは、

 

①Life(個人の生活・人生)

当然ながら、これが一番先にあります。

これと同じくらい重みのある価値観は存在しません。

社会や世間や会社でなく、あなたや私、ひとりひとりの生活・人生がとにかく一番大切です。

そして、そこには百人いれば百通りの生き方、価値観、ライフスタイル、生き甲斐etcがあります。

 

 その下の階層は二つあります。

 

 ①‐1 I(私)

 I(アイ)、英語の「私は(が)」のIです。

 meという目的語でもmyselfという副詞でもなく、

 I(アイ)という「主語」にした理由は、 

 個人が主体性をもって自分で選択・行動できる、

 ということを表しています。

 その際、自分らしい①はどんなかたちか、

 そのためには、自分はどうするのか(①‐1)、

 そんなことがここではおのずと思考されます。

 

 ①‐2 money(お金)

 ここでもwork(仕事)は登場しません。

 お金と仕事をゴチャゴチャにして考えることに

 混乱や不幸があるように思います。

 ここでは、衣食住含む自分らしい①を支えるには、

 どれだけのお金があれば充分なのか、

 あるいは、①‐1をするにあたり、

 どれだけのお金が必要か、どちらを優先するか、

 そんなmoney・Iのバランスが思考されます。

 

      その更に下の階層は①‐2の下位にあります。

 

  ①‐2‐1 work(仕事)

  ここではじめて仕事がでてきます。

  しかもお金(①‐2)の下位体系として。

  自分に必要なだけのお金を稼ぐ手段として、

  クールに仕事を選択する視点がもてます。

  「ワーク・ライフバランス」よりも、

  2レベルほども大事さ度合いは低いのです。

 

私の考える体系は以上です。

 

幸運な人は、①−1自分のやっていること/やりたいこと、と①‐2‐1仕事が一致しているかもしれません。

しかし、若い頃に初めから、この両者の階層の区別なしで、一流企業に就職したりすると、①‐2‐1が①‐1を侵食し、ついには①を蝕み、まさに本末転倒になります。

 

ちなみに①‐1の下の階層はありません。

それは、「私が」という主体、つまり自らの意志やココロをそれ以下に分割できるとは思えないからです。

 

また、①‐1と同格においた①‐2お金には、自ら行動する主体性はあり得ません。

主体性があるとすればその下位の①‐2‐1仕事ですが、これにはお金という上位体系で思考フィルターをかけて、その結果と①‐1の自らの判断を突き合わせられる。

その際、価値の優先順位は原則として仕事(や会社)でなく、上位体系の①‐1「私が」にあります。

そして悩んだ時には、①に立ち返り、静かに自分の中に向けて問いかけてみる。

 

働くことの意味は、日本人の心理にとって大きな影響をもってくると思いますので、今後おりにふれ書いてゆきます。


2017年1月15日