自分の北極星とゴール
前々回書きました、「会社から「盗む」」。
海外勤務にしろ、経理スキルにしろ、将来使える知見・技術であることに間違いはありませんが、それを使って今すぐに具体的な何かを始めるということにはならないと思います。
面白そうだから、気になるから、という漠然とした興味からそれらに意識を向けてみようというのが実際のところでしょう。
その「漠然とした興味」というのが良いのです。
心理技法のなかで、「北極星」と「ゴール」という言い方があります。
自分の人生で、進みたい方向を常に指し示してくれるのが北極星です。「漠然とした興味」がこれに当たります。
それは、はるか遠くの空に「漠然」と、但しある方角(興味)に常に輝いているからこそ、今の自分の位置や進んでいる方向が、おおまかであっても合っているか、それとも大きく外れているのか把握できるのです。
「漠然」というくらいですから、具体的な対象というより、自分の感性や直感を大事にして、興味の範囲を広めにぼんやりと持っておくのがよいと思います。
人間は先のことというと、どうしても理性で具体的に考えてしまいがちですが、それだと未だ言葉になっていないオリジナリティや潜在的な可能性を削いでしまいます。
このオリジナリティの源泉は、前回書いた「二重構造」のうちのコアの部分=人格フェーズにあります。
これが例えば一ヶ月後に達成できそうな具体的な目標ならば、近過ぎて星とはならず、自分が進んでいる方向が合っているか分からなくなってしまいます。
ですが、もちろん身近な目標も大事です。
なので、自分だけの「北極星」を持ちながらも、北極星へ向かう途中にある具体的な「ゴール」も意識しておきます。
「ゴール」は手軽で、数日から数十日で簡単に出来ることがよいのです。
小さな活動の積み重ね、手や心に触れた実感もまた大切なのです。
達成感とか、点数などつかない、ありふれた活動でいいのです。但し、北極星に向かっているかなどうかな、という大まかなチェックさえあれば。
「ゴール」は会社に関係する以外の事柄がよいと思います。
ひとつは単純に幅が広がること、もうひとつは会社関係だとどうしても自分オリジナルなものが出にくいためです。
北極星へ向かう方向にありそうだけど、会社とは無関係な本を読む、なんだか分からないけど自分の心への「引き」が強そうな、SNSで知った人達の集まりに参加してみるetc。
小さいことながらも、こういうことを続けると、生活の質が変わってきます。
例えば、休日に「仕事への英気を養う」として、「気分転換に」ドライブや食べ歩き、旅行等をする人は、その瞬間は楽しくても、日曜日の夕方になると憂鬱になっているでしょう。
それは、会社が北極星になってしまっているの(こういうものを北極星とは呼べませんが)で、休日さえも会社中心の思考だからです。
自分というものがないので、本当には休日を楽しむことができないのです。
一方、自分だけの北極星を持つ人は、食べ歩きや旅行など、同じことをしているようでも、自分なりの視点を持っているので、それらへの関わりから何事かを学べるようになります。
学ぶということは興味が持続性・主体性をもつことなので、日曜の夕方でも「ああこれで休みも終わりか」という受け身の気分にはなりません。
平日の昼間でも、人々の振る舞いや発言等になにがしかの面白い部分を発見もするでしょう。
自分の北極星を持たない人とは違って、方向性を持っているので、推進力・求心力を保ちながら、自分なりに物事を主体的に考えてゆけるようになるのです。
2017年6月5日