心理のよもやま話−うつ病の真実①

うつ病の真実をリアルにかつ構造的に捉える試み①

うつ病の症状について、心療内科あるいはテレビ等でも、抑うつ思考・身体の倦怠感・自責感etcがよく言われますが、これでは抽象的でイメージが湧きません。

ましてや、そんな思考・感覚=苦しみや悩みに、その人特有のどんな「意味」があるのかは、触れようともしていない感じを受けます。

それだと、うつの色んな症状は、まるで風邪の時の咳や発熱や倦怠感と同じ一般論的な次元で捉えられ、休養すれば/薬を飲めば治るように思われてしまいます。

 

しかし、休養して・薬を飲んでいっときは楽になったとしても、「芯からラクになってないな」という感じは、私の見る限りほぼ全てのうつの方がもっておられます。

 

うつの諸症状には、必ずやその人特有の意味があると私は考えています。出会ったうつのケースはほぼ例外なくそうでした。

「意味がある」ということは、その人が「意味」を受け止めて人生についての考え方を変更(しかもかなり本質的な変更)すれば、芯にあるうつの感覚や症状が完全に消失するということです。

そして、それに留まらず、自分なりの感覚を大事にして判断を行い、人生を切り拓いてゆけるようになります。

 

私が言う、うつはサインだ、というのはそういう意味合いです。

(ですので、うつ病というように「病」をつけるのも本当は私は抵抗があります。「病」と言うときそれは一般化されて、一般的な方法で対応可能な印象を与えてしまいます。)

 

うつについての、そんなサイン・意味を受け止め、変容につなげていくことについて、次回から何枚かのスケッチを描いてみようと思います。

スケッチというくらいですので、リアルなケースを挙げてなるべく分かりやすくしてみるつもりです。

 

そして、そのスケッチを精神の構造に応じて、3つのフェーズに分けておきたいと思います。そこにこそまさに意味があるからです。

①二次元 ひとつだけのベクトル

②二次元 今までのベクトル/それに180度逆行するベクトル

③三次元 ベクトルのない「自分」が存在する

 

簡単に言うと、今までの平板(二次元)で一方向にしか向いていない①のような構造(生き方)に対して、180度逆行するベクトルが出現して異論を唱える、つまりうつ状態の構造の出現、これが②です。

③は、②の相反するベクトルの衝突を経て、ベクトルあるべしという次元を超えた(三次元)、特定のベクトルがない自己が悠々と在るがままに遊ぶ構造です。

 

次回より詳しく考えていきます。

 

2017年8月18日