参考になる本など(13)−「TA TODAY」

「TA TODAY 最新・交流分析入門」イアン・スチュアート、ヴァン・ジョインズ著 深沢道子監訳/実務教育出版

一者心理学は、なにか厳格で辛い道を歩むかのような書き方を前回までしてきたような気がしますが、一者心理学はそれ単体でも十分に役に立つ考えです。

 

一者心理学を精緻に探求し、分かり易くした考え方に「交流分析」があります。

交流分析と聞くと初めての人は「交流の分析?なにそれ?」という印象を持ちますが、交流分析とは、一者心理学の祖にして、そもそもカウンセリング療法の祖たるジーグムント・フロイトが創始した「精神分析」に由来します。

 

交流分析は「分析」という言葉を「精神分析」からとっています。

というのも、交流分析の理論の骨格は、フロイトの「超自我・自我・エス」を受け継いでいるからです。

自分のなかに「親(超自我)・成人(自我)・子ども(エス)」という構造があるという考えがその基本骨格です。

 

ご紹介する「TA TODAY 最新・交流分析入門」はこの分野の最も優れた入門書です。

 

例えば、親・成人・子どもをさらに区分し、「支配的な親」と「養育的な親」に分けて、子ども時代の親との関係が現在どんなかたちで今の私達のなかの「成人」や「子ども」に影響を与えているかを観察する視点を提供してくれます。

すなわち「交流」とは自分のココロのなかの「交流」を指しているのです。

 

またその交流の考え方を人間関係の分析にも応用し、例えば共依存とよばれる関係は、そのお互い依存し合っている二人ではじめてひとり分の親・成人・子どもを形成している(つまりひとりの人間としてはココロが独立していない)ことを見事に説明してくれます。

 

なにより交流分析は、子ども時代の親との関係の傷跡を今もココロに残して悩む人にとって、参考になると思います。

この入門書は、理論は図で説明されていて明快で、誰にでも分かる言葉で書かれています。

 

2017年11月28日