心についてのメモ書き−技法の応用⑦

カウンセリングの技法を日常へ応用する⑦ースケーリング

スケーリングとは、自分の感情などを数値化することです。

例えば、一番つらい状態を10点、全然つらくない状態をゼロ点とすると、今の感情は10点中何点かということを感じてみます。

 

スケーリングの良いところは、数値化してみようと考えだした瞬間に、自分の不安などのココロの動きを客観視できることです。

不安に圧倒されている人は、感情から距離を置くことが出来ない状態なので、まずはこの段階で一息つくことが出来ます。

 

次に、点数化することで、色々なことを自分で考えつくヒントが出てきます。

 

同じ感情でも、時間帯によって点数に違いがあるとすると、それはなぜなのか?と考えがいくと思います。

その時間帯にはこういう環境に居るな、とか、その環境が自分にこういうストレスを与えている、あるいはストレスが過去のこういう記憶と繋がっているかな等、様々な方向に連想が向けられていきます。

そこから、ある種の気づきが得られる場合もあります。

 

自分のリミットを設定して、仕事、育児、介護、人間関係etc色々な場面でストレスや不満が溜まる前に何らかの行動をとれるようにすることもできます。

例えば、自分の限界を7点に設定します。

5点まできたら、休みを取る、また、7点まできてしまったら、周囲にSOSをだして、今の状況を変えるべく根本的な対策をとる行動にのりだす、等が挙げられます。

 

コツは、限界を低めのレベルに設定することと限界レベルまでいく前にもうひとつレベルを設定することです。

日本人自体「頑張る」ことが美徳の文化にいますから、限界は低めのレベルでちょうどいいことが多いのです。

また、限界前のレベルをもう一段設定することで、より繊細に感情の強度が把握できるようになり、結果早めに対処する思考や行動を起こすことができるようになります。

そうなると自ずと余裕ができてきて、ここまでなら大丈夫だなという耐性や自信、レベルを一段階下げるための工夫やネゴシエーション、あるいは頑張った自分にご褒美をあげてストレスを下げる、などなどその人なりのやり方が見つけやすくなります。

 

巷では労働時間を規制することが働き方改革につながると報道されたりしていますが、こういう時間の長さではなく、「感情の強さや質で」仕事を測ることが大切です。

労働時間や育児・介護する期間はただの客観的な量的時間で、感情とはなんの関係もありません。

感情と関係ないので、自分のなかでスケーリングすることも、自分で対処方法を工夫することも不可能です。

自分の感情は自分の物差しでしか測れないということです。

逆説的ですが、スケーリング(目盛り・ものさし)とは量的・客観的なものでなく、質的・主観的なものなのです。

 

2018年1月16日