心についてのメモ書き−AC⑦

回復への道(1)

私が考えるに、ACの方の回復には下記の3本柱があると思いますが、これらは相互に関係しあっているので、実際のプロセスと絡めながら考えてゆきます。

 

①アタマでっかちを補正する

②カラダの安心感・感覚へのつながり感を取り戻す

③ココロ(自分)への無条件の信頼感を取り戻す

 

・地図(知識)を得る

 

まず何より自分の状態を知ることが不可欠です。

現状や原因を知り、それを人にも認めてもらうことは、「原因(罪)は自分にはないんだ」という認識を得ることです(「罪」はありませんが、生きてゆく「責任」はもちろん本人にあります、自分の人生への「責任」は本人しかとりようがないからです)。

自責に陥りがちな自分を慰め、また自らを客観的に見ようとする、大事なスタートになります。

 

二回目で書いた脳の構造を知ると、自分の思考や気持ちのパターンを冷静に自分の内部に位置づけるガイド=地図になります。

不安でしようがなくて懸命に周囲に合わせていた生き方を見つめ直して、

ココロのなかの凍結され傷ついた部分、そこにいまひとつアクセスできないで過剰に働いているアタマの部分、というように整理すると、例えば「ああ、自分に安心感がないから、自分はいつも情報とかマニュアルばかり頼りにするんだ」と合点し、①のアタマでっかちさに気づいたりします。

 

・フリーズ→逃走・闘争→社会関与

 

地図を得た後、人により回復への道は多様ですが、一般的に言われるプロセスは、フリーズ状態(緊迫した人間関係において心身が萎縮してしまう状態など)から抜け出し、逃走・闘争(不快な場面から立ち去る・嫌なことには嫌と言う)をイメージ・試みる・実行する、次いで、自分に自信がついてきたら家庭や社会で自分なりの役割を見出す社会関与あるいは自己実現に至る、という流れです。

 

・安全基地

 

フリーズしているのは、もともと安心感・信頼感を持てなかったトラウマがあるからです。

 

いきなりここでAC回復の核心に触れますが、ココロ震える出会いがとてもとても大切です。

 

多くの場合、それは同じような傷をもち現在は回復している人との運命的な出会いであったり、学生時代は親友であった人に再会して気兼ねなく話せる関係にほっとして苦悩を吐露できる関係になった等であるようです。

ACの中核原因は人間関係での安心・信頼の喪失感ですから、それには心打つ人間関係がなにより響くのです。

これが上記の②カラダの五感で感じる安心感覚や③ココロへの無条件の信頼を取り戻すことです。

 

一方、そのようにすぐに幸運に巡り合う人ばかりではありません。

ですが、インターネットで情報収集する、SNS上で匿名で参加して当事者会を覗いてみる、相性のいいカウンセラーと出会う等、機会はいくつかあります。

ポイントは、何らかの継続して関われたり・目にしたりすることのできる安心させる対象を持っておくことです。

 

そのような安心経験を日々積み重ねるうちに、フリーズ状態が徐々にでも溶けてゆくのです(これと関連したエピソードを以前書きましたので、ご参照ください)。

そして、何らかのきっかけで「一歩」を踏み出した時に、ココロ震える出会いが生まれます。

 

・感情の表出・表現

 

多少なりとも落ち着いてきたら、ココロの奥に怒りがあることが感じられるはずです。

それは長年本来の自分を抑えてきたことへの反発ですし、まさに(フリーズ状態から)逃走・闘争へ向けて動き出す原動力です。

従い、怒りは極めて真っ当なエネルギーです。

 

ですが、おうおうにして、怒りをはじめとする憎しみ・嫉妬・軽蔑などの感情は「ネガティブ感情」だとして、「そんなふうに思うのはよくないことだ」と躾を受けていたりします。

 

感情を差別しないということをまず知ることが重要です。

全ての感情はなんらかの理由があってココロに湧いてきます。

これを知るだけでもある程度は③の無条件に自分を認めることにつながります。

 

長年抑えられてきたた「怒り」をノートに書くのが誰でもできる確実な方法です。

その際、ココロ(怒りなどの感情)ではこう感じた、アタマ(理性)ではこう考えている、というように分けて書くと、日常でも冷静さを保つ練習になり、また理性と感情が繋がってゆく準備にもなります。

 

SNSを利用するのもひとつの手ですが、SNSの性質上有象無象の人が入りこんでいる可能性がありますので、不用意に傷つけられないように用心する必要があります。

 

但し、そのような場で、信頼できる人・信頼できそうな人・無害な人・信頼できない人、というように見極めていくのはココロの「自我境界」を築くことのバーチャルな練習でもあり、良い意味でのアタマ=理性を駆使することになっていくと思います。

 

次回に続きます。

 

2018年6月19日