依存から愛へ
精神的に悩んでいる方は、多かれ少なかれ二者関係に縛られている(依存)と言ってもいいような気がします。
人対人の二者関係に由来するなら、依存、愛着障害、見捨てられ不安・・・。
人対思考・モノの二者関係由来なら、神経症、嗜癖・・・。
ですが、こういう二者関係に留まる限り、そこから抜け出すのは難しいでしょう。
そこで、何らかの契機で、もう一つの視点を加えることができると三者関係になります。
第一者とは、悩んでいる人自身、
第二者とは、悩んでいる人自身の内部にある悩みの原因・背景です。
第一者が第ニ者にぴったりと囚われて、自分同士であるがゆえに他の角度の視点を設定しようがなかったところに、
第三者目として、他者あるいは他者的な新鮮な視点が加えられると、一者と三者が共同して(または一者が三者のサポートを得て)二者を客観的に観察する構図が出来上がります。
今まで地面の高さでしか見えなかったこと(=二者)が、例えばドローンを飛ばして俯瞰的な視点(=三者)を一者が持つことで取り扱いが可能になり、吟味をし、アクションを開始してゆけるようになる。
このことは、カウンセリングを含めて、対話という現象の基本構造です。
ちなみに単なる同情等は三者が一者と同じ立ち位置に堕することで、なんらの発見や触発もありません。
そういう三者関係において、第三者の視点は、ある程度の距離を置きながらも、第一者の現状及び将来を勘案したものです。
第一者はおうおうにして、今の辛さに息も絶え絶えで、将来をじっくり考えている余裕はないからです。
さて、回復する過程で一者は三者の視点を取り込んでゆきます。
すると、一者兼三者の視点で二者を見ている、あるいは二者は一者と統合されそれを自分のなかの三者の視点で見ている構造になる。
それは、自分で自分を把握し、認め、将来の可能性に開かれた態度、つまり自分に責任を持つ態度です。
そして、その態度は自分をはじめとする人間全般にも適用されてゆきますので、自分・他者の人生の可能性に対する希望、責任、尊重という姿勢となって現れてくるのです。
二者関係というとらわれ、しがみつきに決別して全く新しいパラダイムに移行します。
これはおそらく愛=その人が未来に向けて本来のその人らしく生きることを見守る姿勢に通じると思われます。
2018年9月21日