精神症状の構造と回復(1)ーはじめに

お互い知らしむべし

今回からある程度まとまったかたちで、私が行っている精神症状の原因やそれを判別する手立て、および回復への道筋等を書いてみようと思います。

 

「診断」や「見立て」をブラックボックスにしておくことは「由らしむべし知らしむべからず」です。

 

「由らしむべし知らしむべからず」とは、為政者や権力者が統治にあたり、国民に支持されさえすればよく、統治の理念やからくりは国民に知らせる必要はない、むしろからくりを知られれば権威が失墜する、というような意味合いです。

いまだ一部の医師等にはこういう傾向、つまり「◯◯障害」などの診断ラベルだけを告げて薬の処方箋を出して、はいこれでおしまい、そんな傾向があるようにも思います。

 

そうではなく、診断に至る判断の根拠がクライアントの腑に落ちるのか、腑に落ちて初めてその診断に基づく治療の方向性を定めることができる、

そもそもクライアントが能動的に参加しないで、単に「ありがたく教えてもらう」的な受動的な心持ちで、自らの心を回復させることができるのだろうか、お互い「知らしむべし」が基本ではないか、そんな思いがあります。

 

簡単に目次を示してみます。

 

①症状の深さ

これは専門的には病態水準と言いますが、精神症状がどれくらい深いか(歴史が長いか)を判断し、根本的なカウンセリング方針を決め、またおおまかに回復にどれくらいの時間が必要かを推測し、クライアントにお伝えするためのプロセスです。

 

②構造

精神分析の用語で「防衛」と呼ぶものがあります、例えば「抑圧」や「投影」などです。

そのような概念も含め、但しもっと分かりやすい言葉も使って、自らを苦しめる精神構造の原因やからくりを挙げていきます。

 

③タイプ

構造を形成するにあたり、環境や個人により基本的な違いがあり、外向タイプと内向タイプに分けることができます。

構造と合わせて、「見立て」をするのに必須な、つまり回復への道をどう歩むかに深く関わる部分です。

 

④回復

①〜③の内容に応じて、カウンセリングの方法は変わってきます。

心理教育つまり知識が必須のケース、本人の継続した思考力・自己観察力が大事な時もあれば、当意即妙の共感の言葉が大きく状態を動かすこともあります。

クライアント誰ひとりとして、同じ回復方法はありません。

 

次回より具体的に書いてゆきます。

 

2019年1月14日