精神症状の構造と回復(5)ー症状の深さ④

1.症状の深さ④ー病態水準

さて、これまで書いてきた症状の深さ度合いですが、専門用語としては、「病態水準」とある程度対応しています。

 

自我違和的な場合は、以前は症状神経症と呼ばれた状態に近いと思います、今でいうと病態水準が神経症水準のことを指します。

親和的な場合は以前で言う神経症性格を私は疑いますが、今は人格障害水準と言います。

 

神経症的な構造、つまり自分を苦しくしている精神構造が症状として自分で認識できるのは症状神経症、本人も認識できないほど性格に浸透してしまっているのが神経症性格というわけです。

 

なので、今言われる神経症水準と人格障害水準にぱっと別物のごとく分かれている意味合いよりも、同じようなからくりではあるけれど、外傷を伴う心的現実のイベントがあった人生の時期と内容に応じて、症状が深いのかそれほど深くないのかが判断される、その方が実態に近いのではないかと思います。

 

さて、何のために症状の深さを見るかというと、ひとつはクライアントに回復までの期間をお伝えすることでした。

 

たまに1、2回の面談で終了することもありますが、

見立てた内容に応じ、だいたいのケースで、深くない時私は回復までには「数ヶ月くらいでしょうか」、深いと思われるとき「数ヶ月か一年はまずは見ておくのが妥当と思います」と言っています。

それと一緒に、簡潔に「歴史が長い(orそれほど長くない)」ので、こういう時間を要すると伝えます。

 

回復までにどのくらい時間がかかるのか。

 

これはもちろん目安に過ぎないのですが、このことを根拠と共に申し上げること自体に意味があると思います。

それなりの時間がかかると知り、がっかりするクライアントはあまりいないというのが私の印象です。

(もちろん的確であった場合にはですが)むしろ、自分の抱えている悩みを正当に捉えてもらったという安心感が芽生えるように思います。

 

2019年2月12日