精神症状の構造と回復(16)ー構造⑨

2.構造⑨ー精神症状に共通の特徴(完全主義)

防衛が自分の生命と同等の価値を持つということは、それを完全にしなければ死の可能性=不安が払拭されませんから、隙間なく100%にしなければ気が済まない、という心理になってきます。

言い換えると、強迫性を持つと言ってもいいでしょう。

 

頭でわかっているけど、やめられない状態です。

それは不安をゼロにするための思考や行動です。

まさに無意識に深く刷り込まれた、死を避けるための防衛と言えるでしょう。

 

ですがもちろん、客観的には不合理なものです。

 

よくみられる確認強迫は代表的なものです。

家から出かけて数分で鍵をかけたかどうか心配になって家に戻る。

鍵がしっかりかかっているか、何度もドアノブを引っ張ってガチャガチャして音を聞かないと気がすまない。

 

家は自分の生命の象徴だとその人にはみえているかもしれません。

ですが、何回も何回も、気のすむまでやって、ついには自分の目や感触が信じられなくなるのは、いささか度を越した完全主義と言えるでしょう。

 

その他にも、手を何回も洗わねば気が済まない、とか、血圧が高い等少しでも体の調子が悪いと病院に行かないと安心できない等色々あります。

 

うつの方では「頑張る」人が多いのですが、仕事の準備が心配なあまり出社時間が午前6時→5時→4時と度を越して段々早くなってなってしまうような方は強い強迫性にかられています。

必要もないし、帰りづらい雰囲気があるわけでもないのに、毎日深夜まで残業しないと会社からの評価が気になるという例もあります。

 

しかし、仕事の内容やクオリティーよりも、専ら自分の不安の除去の為にやっていることなのです。

非合理的な完全主義と言えます。

 

ですが、これらをいつまでも続けられるものではありません。

焦燥感に駆られたような毎日で真に安心するということがないですし、そのストレスから酒量が多くなったり、ついには抑圧された心が不安定になって早朝覚醒や中途覚醒、倦怠感などうつ病等の兆候が現れてきます。

 

そうなったら、「何が」完全主義を自分に招いているのか、色々な助けを借りながら自分で検討していく必要があります。

 

2019年4月30日