精神症状の構造と回復(20)ータイプ①

3.タイプ①ー2つのタイプ

精神症状を理解するための方法として、自我親和/違和、防衛、共通の特徴をみてきました。

それらは安全基地や自我境界、防衛という心のメカニズム等がどのような精神構造を形成してゆくかについての話しでした。

 

今回からは、構造という精緻な視点から少し離れ、俯瞰的な視点で精神を見ていこうと思います。

 

それは私達が一般的にパーソナリティと呼ぶものですが、メカニズムの観察だけでは見えてこないその人本来の資質や本質がダイナミックに現れているものだからです。

 

そうは言っても、ことは単純です。

人間のパーソナリティは外向型か内向型に、大きく2つに分けられる、というものです。

 

外向型の人は精神的なエネルギーを自分の外に向けて使い、内向型の人は自分の内側に向けて使う、そんな傾向がみられる。

人間には自分と他者があるだけなので、エネルギーの向かう先は内か外かの2つしかないのでしょう。

 

内か外のどちらに向かうかは、持って生まれた資質、及び育った環境、親等との交流により決められてきます、そしてこれら全てがその方のパーソナリティを形作ってゆきます。

そんなパーソナリティー形成全貌のストーリーをクライアントとカウンセラーの共同作業で理解してゆくのがカウンセリングの目的の一つでもあります。

 

そして、「共感」とか「そうだったのか!体験」といわれる洞察、自分が生まれ変わったかのような劇的な変容体験等は、自らのパーソナリティを深く理解してゆく過程で起こります。

その理解していく方向性の大きな手がかりになるのが、内向/外向のタイプというわけです。

 

ちなみに、内向と外向という分け方をユングが著書「タイプ論」のなかでものすごく詳細に論じていますし、新フロイト派のホーナイは依存型と隔離型等というように大別しています。

 

心理臨床以外の分野でも、古代イスラム(?)から伝わる「エニアグラム」では9つと細かい分け方ですが、タイプを措定するという意味ではユングやホーナイと同様の思想と言えるでしょうし、さらに遡ると古代中国の「易経」には対象を人間以外の現象にも拡大して同様の思想がみられます。

 

おそらく、昔から伝えられてきた普遍の真理があるのでしょう。

そういう視点を持つことも総合人間学としての心理臨床には不可欠なのでしょう。

 

2019年5月31日