精神症状の構造と回復(23)ータイプ④

3.タイプ④ー内向タイプ

内向タイプは、自分独自の活動、作品、やり方、世界観等に自由に遊び、自己の内面を掘り下げてゆくタイプです。

友達も少ない傾向にありますが、つきあいの密度は濃いでしょう。

 

病的な方向に行けば、自分ひとりの世界にこもることで、他者と関わるストレスから逃避し、仮そめの安心を得ます。

 

基調として、ひとりでいることに本人自身それほど苦痛でもなく、馴染みがあり、また人間関係への諦め感や淡白さをもっています。

 

フルタイムで働くサラリーパーソンで、仕事もそつなくこなし、会社の人間関係も一見上手にやっている、でも飲みに誘われると断る、深い付き合いを避けてすっと帰る、という感じの人です。

これは以前書きました「引きこもり」防衛とほとんど同じ精神の働きと言っていいでしょう。

 

一見すると、おとなしく、自己制御できているかのような印象を与えます。

ですが、お会いして話していると、その方がその場で沈降してゆくと言いますか、エネルギーがほとんど感じられない、こちらに手応えのない感じがすることがたびたびあります。

内向の味わいがたしかにあります。

 

けれども、彼らは、人間は他者と全く無関係では生きていけないという真実との間でジレンマに陥っています。

他者を渇望し独占したい欲望と自分ひとりの世界で気楽にやっていきたい、でも孤立している寂しさと、そんな2つの気持ちの間で強い葛藤を潜在的に抱えています。

 

それでも内向タイプの方は、自分独自の世界を持っていますから、カウンセリングにモチベーションさえあれば、自らの心を語ってゆくことが得意だという印象があります。

また、独自の世界は往々にして、その方の生きる自信となっていることもあります。

 

そういう世界観を尊重する、その深さを驚き楽しむ、あるいはカウンセラーの自由な発想も対話に投入して、対人関係への新たな起点を探してゆく、そんなスタンスが内向タイプの方には有効なように感じます。

 

2019年7月2日