精神症状の構造と回復(40)ー回復へ向けて⑯

4.回復へ向けて⑯ーセルフワーク(表現する)

ここからは、付録として、自分でできるワークを書きたいと思います。

 

カウンセリングの自由連想もそうなのですが、「自分を表現する」ことがまずは大切です。

精神症状はつまるところ、自分を表現できずに、歪んだ方法・方向でそれを解消しようとする試みですから、自分の生の感情や気持ちを表現することが必要です。

 

・ノートに書く

 

言語化することで自分の気持ちを整理できます。

自分の気持ちを言語化できない方はわりに多いのです。

また気持ちを吐き出すことでスッキリする効果もあります。

 

書く際は、可能ならば、偽の自己と本当の自己、どうも囚われているようだという部分と素直な自然な気持ちの部分を区別して書くとよいでしょう。

 

・話す/聴く

 

信用のおける人、という条件は付きますが、表面的な世間話でなく、お互いの悩みごと等を話し合える人がいれば、ゆっくり話すといいと思います。

人に聴いてもらえる嬉しさ、有り難さを感じるのは、表現したからこそです。

 

また、相手から思いもよらぬ話が出たりすると、みんな自分と同じように悩んでるんだ、とある意味安心しますし、「この人は悩みなんてないんだろうな」と思い込んでいた自分の狭さに気付かされたりします。

 

・歩く/走る/エクササイズ

 

歩いたり走ったりすることは自然に触れることですし、なによりも生き物として基本的なレベルでの「表現」です。

その結果として筋肉がついたり、免疫機能が上がりますが、そういう、身体を充分に活用しているあるいは活用させてもらってる自分なんだということを意識すると、人間生物としての誇りのようなものが生まれます。

 

また、スポーツや格闘技で技を競ったり、勝ち負けにこだわるのも、人間の闘争本能を素直に表現することですし、傷ついた自尊心を回復させる効果もあります。

 

・歌う/楽器を演奏する等(趣味の活用)

 

音楽の好きな人は、それを活用するといいでしょう。

音楽は、おそらく三層目から発するその人の天性のものなので、本人も防衛的な感じはしないのではないでしょうか。

 

単なる言葉でなくリズムに乗せて歌うことは理屈抜きの身体性を表現することですし、あるいは言葉でないからこそ表現できる演奏はその人の主体性やオリジナリティを喚起する表現様式でしょう。

誰かに拍手など受ければ、自己評価感も戻ってきます、ですから音楽以外でも自分の得意な趣味等で表現の場を設けることには意味があります。

 

2019年12月13日