精神症状の構造と回復(41)ー回復へ向けて⑰

4.回復へ向けて⑰ーセルフワーク(自分をケアする)

自分で自分を、好きになれない・評価できない・大切にできないこと等が苦しさの最大の原因のひとつです。

 

強迫性や完全主義からくる焦りがあって、色々やっている(「〜しなければいけない」)ようで、実は「自分がお留守」な状態ですから、そこに対するケアをします。

 

・料理をする

 

まず、何を作ろうかと考えると、「あれが食べたいな」という味覚において身体・情動が動き出しますし、実際に買い物に行って自分の嗅覚や視覚イメージを駆使するのは二層目が働いています。

同時に食材という自然(三層)に触れる意味もあります。

 

これは言い換えると、自分内部の身体や心の状態を汲み取ることです。

普段は、とりあえず食えればいいや、とか、カロリーを気にして糖質制限、等やっていたと思いますが、これは内部を汲み取ってない状態です。

 

人間は自動車ではないので、単にエネルギーを補給すればいいというものではないですし、カロリーという数値指標よりもその時の自分に必要なものを教えてくれる自らの五感という素晴らしい指標を内在しています。

 

調理作業自体は、一層目において切る・煮る/焼く・盛り付ける等の理性的な作業が主体になるように見えますが、その瞬間瞬間で焼き加減をはかるとか塩加減をみる時には二層目が活用されています。

 

その活用の中身とは即興です。

 

そうだ、あらかじめ胡椒をつけたらいいんじゃないか、

ちょっと最後に酢をかけたらスッキリするよね、

そんなことをやってみるうちに、出来栄えも良くなってきて、その場や状態に応じ臨機応変に自分で自分(の心身)をケアすることができる感じ、そしてそれは自分を評価する・自信をつけることになっていきます。

 

・お風呂/マッサージ/おしゃれ

 

料理は自分の体に入るものを自分で作ることですが、それと同様に自分の体をいたわったり、心をケアするのも大切です。

お風呂に入る、ストレッチをする、自分で足裏のツボを押す(私がよくやるんです)などなど。

 

ただこれらをするだけでもわりに心地よいのですが、丁寧にやることがポイントです。

焦って義務感的に・やらされ感的に・マンネリ惰性的に、またはこれをやったら良くなるんだ的なマニュアル的にするのはNGです。

 

この状態は、強迫的すなわち防衛的になっていたり、あるいは頭で仕入れた知識先行なので、自分の心身の声を無視しています。

 

ひとつひとつの動作に心地よさを十分感じ取って、自分を生かしてくれる身体への労いをこめて、自分と対話する気持ちでやってみます。

大きな気付きが得られるのもそんな時が多いと思います。

それは抑圧投影のような凝り固まった状態とは反対に自分が開けている状態だからです。

 

おしゃれは意外に大事です。

心地よく着れるには、適度に洗濯してあること、暑かったり寒かったりしないこと等自分へのケアが基本にあるはずです。

 

そのうえで、何を着るかは、前回書いた自分を表現することに他なりません。

人はそれぞれ理想の自己イメージを持っていますから、おしゃれは自ずとそこに向かいます。

理想の自己に近づければ、自然に自信が持てて他者とのコミュニケーションが生まれやすくなります。

 

ということは三層目である本来の自己が発揮される仕事・活動等を社会に向けて表現するチャンスが訪れることにつながってきます。

 

2019年12月24日