参考になる本など(17)ー「こころの時代 禅の知恵に学ぶ」

NHKテレビーEテレ「こころの時代 禅の知恵に学ぶ」

本の画像を貼り付けておりますが、この本を紹介したいというよりテレビ放送の方を紹介したいのです。

でも放送は終わってしまいました、ですが大丈夫です、NHKのパターンだとアンコール放送が近々あるはずです、それを見逃さないで録画してください。

もしくはユーチューブに載っていればそれをご覧ください。

 

6回シリーズで、坐禅、作務、托鉢などのテーマごとに、岐阜県にある正眼寺の山川宗玄さんがお話をします。

山川さんは師家、つまり禅の師匠です。

寺には外国人含め多くの雲水(禅の修行僧)が日々修行をしています。

 

なんでこれを紹介するかというと、どうも山川さんは「本物」だなと私が思うからです。

あたまでっかちなお勉強臭さが無いな、と感じるからです。

なので、本よりも映像を観ていただきたいのです。

 

公案というものがあります。

師家から雲水に対して提示されるお題です。

「お前の親が生まれる前、お前はどんな顔であったか?」とか「片手だけの拍手の音とは?」というような一見意味不明の問いかけです。

 

山川さんは雲水時代、師家から公案を出されます。

それはブッダが弟子にだしたことで殊に有名な公案ですが、師家が無言でただ手に一輪の花を持っている、それを眼前にするという、ただそれだけの公案です。

山川さんはその公案に対して言葉で答えてみるものの、いまひとつ腑に落ちません。

 

そうこうして数年経つうち、住職が病気になったという別の県の寺に住職として赴くよう師家から言われます。

その寺に行き、さらに一年が過ぎ・・ある日山川さんは花を寺の本尊の脇に生けていました。

 

その本尊も仏像としては珍しく右手に花を掲げているという偶然と思えない巡り合わせなのですが、それはさておき、その日見学に来た来客に、本尊の前で生けた花を見ながら寺の説明をしていたその瞬間山川さんは「あああっ!」とふいに公案の意味を悟ります。

 

花が咲いてる、咲くとは笑うだ、ブッダが・師家が・御本尊が・花が・万物が!笑っている、全てつながっている、私と!

 

これは言葉ではなかなか説明できない境地です。

ですが、以前書きました第三層(仏性)に到達した体験であることは間違いありません。

 

意味不明の公案も、実は言葉すなわち人間が狭い了見で勝手に世界の見方を一面的に意味づけていることに対して、その凝り固まったあたまに打撃を与える方便に過ぎないのです。

 

次回に続きます。

 

2020年1月24日