幻想・憐憫グループ その1
母親から見捨てられない為に、幼児期の子供は見捨てられる不安から自分を守る(防衛する)必要に駆られます。
その方法が前回書いた「幻想・憐憫グループ」と「強迫・妄想グループ」です。
この2つは一応対照的な指向・方向という位置づけです。
まずは幻想・憐憫グループについてです。
この方向性は、見捨てられる不安そのものを感じないようにするために、無意識に母親との一体感をいつも保持しているんだと思い込む方向だと言えます。
成長する過程で、一体感に浸っていたい願望は、本当はないもの、つまり母と言えども本来あり得ない、自分以外の他の人間との一体感を保持しようとするがゆえに幻想性を帯びてきます。
母親に受け入れられて当たり前、母と自分はいつも一致しているという幻想は、時が経つにつれて、期待、自惚れ、耽溺、引きこもり等の気持ちを派生させそうです。
これらの気持ちには、自分はいつも正しいんだ、あるいは何も言わなくても自分の気持ちを察してもらえるんだという思い込みもありそうです。
やがてそんな心理が母以外の他者との人間関係にも適用されていきます。
一方、現実の他者との関係は母との関係以上に自分との一致のしなさ具合は大きいので、その不一致の大きさに傷つく(傷つきそうな)時が遠くない将来やってきます。
そして、その時にそんな現実を見ない見たくない幻想的な心理をその人間関係に適用することで、傷つく不安から自分を守ろうとします。
これらのプロセスはもちろん無意識に行われますから、本人はこういうからくりがあることに気づきませんし、仮に他者がそのことを指摘したとしても、自分を守る為の大事な方法(防衛)ですから、容易にそれを認めようとはしません。
2020年3月9日