基本的葛藤 その1
幻想・憐憫グループにしろ、次回以降書く強迫・妄想グループにしろ、そもそも何故そういった心身状態になるのでしょうか?
自責感に苛まれ胃が痛くなる、息苦しくなる。
自己否定感に毎朝や毎晩不安になる。
実は、それらの症状の意味は「やりたくてやっていることではない」気持ちが引き起こす、身体からのメッセージです。
親への一体感を抱くのは幻想です、また親に振り向いてほしいために必死に努力するのは強迫です。
いずれも現実感から遊離しているというか、ひとりよがりになっている感じがあります。
ですが、現実に目を向けられないのには、それなりの理由があります。
その理由とは、奥底に(無意識下に抑圧してしまった)親への不満や反感がある、ことです。
人間の幼児は、自ら食べ物を獲得したり、自ら安全を確保できないので、親に対する期待や依存の度合いは大きい。
しかし、それが満たされない時は落差が大きいので、不満や反感を持つ。
それでも客観的に言えば、幼児と親はしょせん他者同士、個性・感じ方・嗜好等は違う。
すると、親と子でズレが生じてくるのはやむを得ないように見えます。
ですが、幼児は無力ゆえに、やっぱり親の庇護なしでは生きられない。
ズレや誤解があっても親を論破したり、言うことを聞かせて勝てるわけもなく、服従せざるをえません。
子供は負ける運命にあるというわけです。
すると何が起こるか?
不満や反感があるのにもかかわらず、幼児は親との一体感を抱こうと、やむにやまれず自分を幻想世界に浸す、懸命の強迫的努力をすれば親に認めてもらえると、自分に信じ込ませるのです。
2020年5月12日