自己否定感と罪悪感⑨

基本的葛藤 その4

機能不全家庭の問題があると、不満や反感を抑えつけたり、見なかったことにする幼児なりの必然性が大きくなる。

すると、自らの自発性を自ら否定する、という現象がおこる。

 

この現象の際に、水面下で働いている無意識の作用を描写してみます。

 

「自分をすごく不安にさせるこの親の対応はなんだろう?」

 

→「自分より親の方が悪い?いやいや、悪い親とずーっと一緒に暮らして、その親に頼りっきりと思うなんて・・・そう思うなんて耐えられない。自分は他に行くとこがないんだからさ。」

 

→「でも正直この親イヤだなあ」

 

→「じゃあ、「親が悪い」と思う自分の気持ちを見なかったことにして、考えないことにしよう(自己否定)。」

 

→「「良い親」だけを見ていたい。そのためには本当の自分を出しちゃダメだ(自己否定)、自分よりも親本位に生きなければ。」

 

というように自己否定の心理が形成されていきます。

一見飛躍した発想にみえますが、そうせざるを得ないほどに反感や不満のエネルギーが大きいのでしょう。

 

生き物にとって最も大切な自発を自ら引っ込めてしまうゆえに、自責感よりも根っこが深いという気が私はします。

自己否定感も自責感もっているという方もおられますが、その場合はやはり自発性の欠損がメインの病態だと考えています。

 

いずれにしろ、一体幻想や強迫観念もより過剰になってきます。

自分を誤魔化したり、追い立てる度合いが強くなってきてしまう。

 

そういう度合いが強くなるほど、生きていく為に自責感や自己否定感がある意味当たり前になってきてしまう。

つまり自我親和的になってしまう、病的度合いが強くなってしまう、という問題になってきます。

 

ちなみに、カウンセリングの初期段階では「親への反感・不満なんて思ったこともない」と言う方が多いです。

「親が悪い」と思う自分の気持ちを見なかったことにする=抑圧が強く効いているのです。

 

このあたりを無意識→意識に登らせて、自らの言語化や気づきにもってくることができれば、カウンセリングも深い所にタッチしつつあると言うことができます。

 

2020年6月19日