自己否定感と罪悪感⑭

強迫・妄想グループ その5

強迫・妄想グループのふたつめの特徴は、「親を振り向かせるための懸命さ」のその「親」が他者にも「転移」されることです。

 

じつに、母親というものは、あるいは母親との関係というものは、その人にとって社会との関わり方の基本型となるものです。

 

母親との関係に不安(基本的葛藤)を抱いていて、その不安を「母親に認められる自分にならなければ(母親に見捨てられる)」等の強迫性に不安解消方法を見出す人は、母親のちに他者にも同じ方法をとります。

 

かなり早い年齢から人のことを気にしています。

 

成長するにつれて、そのやり方は洗練されてきて、

他人との間で笑いをとったりして自らの存在不安から目をそらそうとする人(道化師)、

優等生的に振る舞うことで仮そめの自尊心を確保しようとする人、

他人に献身・世話を焼くことのなかにのみ自分の価値を見出そうとする人、

などその人なりの方法を形成していきます。

 

そこには強迫性がありますから、ややもすると被害妄想的な気持ちになってきます。

大人しく品行方正に振る舞っていても人からどう思われているか心配だ、あるいは、これだけ気を使っていてもいつか仲間外れにされるんじゃないか等の気分になってきそうです。

 

ここで言う妄想とは、自分の安心が他者(親)次第だと思いこんでいる人が、必死になんとか安心を確保したいと思い、その言動が人間関係において過剰に(強迫性的に)現れた心理作用なのです。

 

ならびに、深い部分では実は元々自分が他者をつまり親を信用できない、という基本的葛藤からくる疑心暗鬼の現れ、あるいは投影でもあります。

 

誰にもある他者へのアンテナ張りが過剰になってくる。

自発=本来無条件であるはず自分を置き去りにして、社会や他人の評価を専ら気にして生きる。

 

そしてなにより無意識では自分でも「無理をして」そんな立ち回りや優等生をやっていることがわかっていますから、年月を重ねるにつれ「自分がない」という虚しさが大きくなってきて、抑うつ気分に陥ります。

 

2020年9月1日