「グッドマザー」と「バッドマザー」⑪

大人になってどう現れるかーナルシシズムと自己否定感(続々)

「自分が悪いと思うとなぜか収まりがいい」という気持ちは、実はナルシシズムと似ている気がします。

 

ナルシシズムは仮初めで虚構の自己肯定感を得るために家族や社会で「よし」とされている価値に自らをいたずらに適応させるという形でおこなわれるものですが、「自分が悪いと思うと収まる」もある特定の形に自分を適応させてしまうという意味では、大きくみれば同じやり方だと言えるのではないでしょうか。

 

「自分が悪いと思うと収まる」と思っている自己否定型の人は、いつも自分を抑えて、ひたすら不安にかられて自分のあら探しと他人への忖度をしている。

 

そこには、自らの主体性をはっきり表現することへの臆病さがある、自発性を出すことから目をそむけている。

 

なので、自分が悪いと思うと収まるという妙な理屈付けをしてしのいでいる、あるいは自分を誤魔化している。

 

一方、ナルシシズム型の人は、自分にははなっから主体性があるんだという幻想や根拠なき自尊心を保つために、空疎な理想のイメージに自分を当てはめ続けている。

 

整理すると、自己否定型の人は自発性を出すことから逃避するために、ナルシシズム型の人は幻想の自発性を保つために、自己否定型の人は不安に駆られ強迫的に他者の目を気にする、ナルシシズム型の人は不安に目をつむって強迫的に理想の価値に身を丸預けにする。

 

ナルシシズム型の人と自己否定型の人は雰囲気がかなり違うものですが、根本は同じだと言っていい気がします。

 

2021年3月12日