カウンセリングという体験について③

自己観察

自己観察はなにもカウンセリングの最中に限ったことではありません。

 

むしろ生活の大部分の時間を占めるカウンセリング以外の時に、自己観察をすることがだんだん多くなっていくはず(そのように望みます)です。

 

初めのほうのセッションでは、カウンセリングと日々の自己観察の繰り返しが重要ということを申し上げます。

 

カウンセリングでわかった自分の心理的傾向を生活のなかで意識し始め、自分なりにその原因等を考え始める。

その日常生活で自己観察した結果、疑問に思ったり発見したことを次のカウンセリングで話し合う、そこからあるまとまった気づきに至る。

 

そんな姿勢で自分に向き合うことが結果としては最も根本的な回復への道となる。

 

そのようなわけで自己観察もカウンセリング体験に含めて考えることにします。

 

さて、自己観察とはなにか?

 

まず言えることは、前回書いた「表現」と同時進行、あるいは延長上にある、ということです。

 

自分の気持ちを自分のことばで表現できるようになると、自分の気持ちが取り扱い可能になる感覚が生じる、と書きましたが、実は表現するためには自分のことをある程度きちんと観察していないと的確に表現できないものです。

 

これも体験すれば分かりますが、自分の内面を観察することは意外と簡単ではありません。

たいていの人は、無意識とはいえ自分の本当の気持ち(内面)に気づくことを避けているからです。

 

それでも本当の自分は、本当の気持ちに気づきたいので(気づいてほしいので)、うつや不眠等の色々なメッセージを発しているわけです。

 

だから、セラピストの助けも借りながら、表現そして自己観察を試みることは本質的にそれ自体が治療的だと言うことができます。

 

2021年6月18日 佐藤