カウンセリングという体験について④

自己観察(続)

自己観察の具体例を描写してみます。

 

「人と比べて自分は劣っていると思う、人に影響されてしまうことが多く、自分に自信がもてない。」

このような不安を持つ方がいるとします。

 

カウンセリングの初期は、いかに自分が劣っているかを話しますが、カウンセラーとのやりとりを通して考えていくうちに、

 

・ところで何故わたしは自分が劣っていると思うようになったのだろう?

・本当に自分は人より劣っているのだろうか?

・そもそも劣ってるとか優れてるって、なんだろう?

 

という疑問を自分に対して持つようになります。

自己観察の始まりです。

 

そんな自己観察的姿勢を出発点にして、感じることを話す(表現)うちに、カウンセラーからコメントされたりして、

 

・劣ってると今まで思ってたことを自分は話してきたが、どうもそれは単に人と違う感性を持っているだけなのかもしれない。

・自分が劣ってると思う事柄にはどうも一定の傾向があるようだ。

 

という小さな気づきに至るでしょう。

自己観察が進展して、不安の中身に向き合い始めたわけです。

 

すると、他人に影響されやすくて自信がないという状態に、すぐには行かなくなる感覚がおこってきます。

 

自分に自信がないという不安感は直ちには消失しないにしても、無闇に不安に翻弄される感覚が徐々にではありますが薄くなっていく。

 

不安というものは直視するほど不安に巻き込まれず、不安を無くそうとする防衛行動(例えば強迫的な確認行動等)にも歯止めがだんだんとかかります。

 

自己観察が成果を表してきたわけです。

 

2021年6月25日 佐藤