強迫性の本質と価値付け
「念には念を入れて」「準備万端整えて」「漏れの無いように」「万が一の時でも困らないように」、こんな心境が強迫性の代表的な心理です。
上記のことから明らかなように、強迫性の本質は、完全を目指してそれを実行しようとする心理、です。
これに対し、完全を目指して当たり前じゃないか、パーフェクトにやろうとすることのどこがいけないんだ、と言う人がいそうです。
前回書いた、台風の時の出社や鍵の確認についても、確実を期してやることのどこが悪いの?、たいがいの日本人がそうしてるじゃないか、と言う人がいそうです。
ですが、これには要注意です。
そんな心理は、「誤った心理(=強迫性)が価値付けられている」状態だから、です。
台風の時でも、おそらく多くの人が必ずしも定時に出社する必要がない、それにもかかわらず定時に出社しようとする。
冷静に考えれば、非合理的つまり誤った思考・行動に思えます。
その背景には、学校教育の過程で集団行動が原則とされ、親の方もそのルールで育ってきたから、家庭における子供もその価値観に疑問を抱くことなくそれを受け入れてきた、例えばそんな社会背景がありそうです。
そんな背景が「価値付け」の方向にひと役買っていると言えそうです。
言い換えると、社会適応の名のもとに誤った価値観を合理化してきたとも言えます。
ですが、価値付けだけで強迫性は成立しません。
2021年8月1日 佐藤