強迫性について⑥

自発の抑圧

強迫性の根本動機に「自発の抑圧」がある。

 

その具体的な心境は「なまじっか自発性なんかなかった方があれこれ悩まなくて楽だったのにな」とでもいうものだったと想像します。

 

自発性があるとどうしても親とのズレに直面せざるをえないからです。

 

すると、ズレを見なかったことにするために、無意識下で自発を顧みないようになり、その分親との完全一致を求める方向にエネルギーを向ける。

 

例えば、(親に)勉強や活動の成果で認められる、(親の)価値観に合わせる、(親の)機嫌を伺って機嫌を損ねないようにする等々。

 

しかし、この強迫性を身につけてゆくプロセスは、自分を消すことです。

 

自分を消している=こころがここにない。

実際、強迫行為の最中はこころがそこにない。

 

つまり、自分を消している状態なので、こころが「主人公の自分がないがしろ(自己阻害)にされている、どうにかしてほしい」というメッセージを発している。

 

自分が主人公で生きられないのは、自然の一部の生きものとして辛いのは当然ですから、それが、強迫行為・思考が苦しい、辛い等の症状として感じられる原因だと思います。

 

2021年9月12日 佐藤