カウンセリングの現場では③

うすうす分かってはいたが

カウンセリングの場でしばしば目撃する現象として、

 

「うすうす分かってはいたが、やはり自分の感じは間違っていなかった」

 

こんな言葉がご相談者から吐露されることがあります。

 

今まで自分の感じ方を自発的なものとしてあまり自己肯定できていなかったけれど、そのことに気づいた。

 

こんな説明が可能だと思います。

 

「うすうす」という所にポイントがあります。

 

生育する環境に応じて、その人の個性が自己疎外(結果としては本人が自分の自発的なものを自分で受け入れないこと)されてゆくのが精神症状につながっていきますが、

 

人により自己疎外の程度はあるものの、自己疎外する以前の「自己」は確実に残っています。

 

カウンセリングの肝は、その元々の自己の声を聞くことにあります。

 

その声を汲み上げ、共感することにカウンセラーの存在価値があります。

 

但し、言葉で書くと簡単ですが、ここに至るプロセスは簡単ではありません。

 

ですが、「ああ、やっぱりこれでよかったんだ」と吐露される言葉には言葉以上の深い実感が伴っています。

 

すると、人間は大きく変化していきます。

 

2022年9月30日 佐藤