カウンセリングの現場では⑫

観えてくること

先日、家人と一緒に映画「素晴らしき哉、人生!」(1946年・フランクキャプラ監督)を観ました。

 

名作ということは知っていたのですが、白黒ということややはり古い映画という頭もあり、後回しにしていましたが、、、結果素晴らしい映画でした。

 

終盤、主人公が自分が生まれなかった世界を体験する場面があります。

 

その世界では、主人公が知っているはずの家族や友人は全く違った人生を送っていて、そのことに主人公は激しく混乱してしまいます。

 

しかし、その体験を通して、自分が生きていることでいかに多くの人の人生に影響を与えていたか、また多くの人のおかげで自分があることを悟り、彼は立ち直ってゆきます。

 

さて、カウンセリングがある程度進んでくると、クライアントが「◯◯はいつも私にきついことを言うと思っていたが、振り返ると私を気遣ってくれた時もたくさんあった」というようなことを言うことがあります。

 

これは、物事や人の色々な側面が観えてきた、ということだと思います、「素晴らしき哉、人生!」の主人公のように。

 

多かれ少なかれ、心理的な問題というものは幼少期に形成される自己防衛の必要性に由来します、そして自分を守るという性質上どうしても視野狭窄的な傾向を持つことになります、要は強迫的・自動思考的になるということです。

 

そんな自分の限定された視野を自己観察してゆき、上記のような見方ができるようになれば、一歩も二歩も前進したと言えます。

 

何より自分のことが観えてくると、心が和らいでくる感じ、余裕がでてくる感じになってきます、これは大きな変化です

 

おそらく、物事の真実に触れることと心が動くことには本質的な関係があるに違いありません。

 

2024年1月12日 佐藤